試験に受かっただけだねって言われるのは、悔しくないか?
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「おい、尊ゥ、おまえ、応用情報に受かったって前言ってたよな?」
辰巳は出し抜けに尋ねた。
「あ、はい。一応受かりました」
尊の会社では、昇進条件として、「応用情報処理技術者試験に合格することが義務付けられている。
ある職階に上がるために、応用情報試験に合格していないと、自動的に跳ねられてしまうのだ。
「受かったんなら、IPアドレスはわかるよな?プライベートアドレスとグローバル・アドレスもわかるよな?NATの仕組みもわかってるはずだ」
「は?馬鹿にしてんすか?わかりますよそれくらい」
辰巳は畳み掛けるように尋ねる。
「じゃあ、おまえのPCに割り当てられているプライベートIPアドレスってどうやって調べるかわかるか?NATで変換したグローバルIPアドレスはどうやって調べる?」
「それは・・・」
「googleで検索すればわかるなんて言うなよ?現場ではスピードが大事なんだ。『ググればわかる』なんてのは甘えなんだよ。スピードを出すために必要なのは、調べないでできるようになること。そのためには、大事なことは記憶すること」
過去問や教科書を「記憶」して、試験に合格してきた尊にとって、勘に触る物言いだった。こいつは、何を偉そうに。試験も持っていない癖に・・・。
しかし、試験の知識は持っていても、現場との乖離があるのも事実だった。
用語の意味、概要はわかっても、それは現場で活きなかった。実践に即さない教科書の知識だった。
もともと勤勉な尊は、辰巳の鼻を明かすため、教科書の知識と現場を結びつける練習をした。本屋にあるネットワークの本を片っ端から立ち読みし、今の尊の基礎レベルの知識と、現場を結びつける良書を見つけた。
それが、「おうちで学べるネットワークのきほん」だった。
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タイトルはものすごく初心者向けに見えるが、実はネットワークの仕組みを体系的に丁寧に解説した初心者から中級者への橋渡し本である。
「初心者」というのが、TCP/IPって何?IPアドレスっておいしいの?レベルだとしたら、初心者がまず読むべきは
である。
このサイトでは、ネットワークの基本が動画付きでものすごくわかりやすく丁寧に解説してくれている。
IT業界に入りたての新人は、まずこのサイトを暇な会議時間に読みまくるべきだ。で、ここで基礎的な知識が見についてくると、
「じゃあここに書いてある基礎は、手元にあるPCでどう使われているの?」
という疑問に到達する。
そこで登場するのがこの
である。
windowsのDOSコマンドを使って実践しながら、基礎知識を説明してくれる。
▼ipconfig /all
IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどTCP/IP設定を確認する
▼ipconfig /release
▼ipconfig /renew
▼arp -a
ARPテーブルを確認する。
▼netstat -n
ポート番号を確認する。
▼nslookup www.google.co.jp
など、実際にコマンドプロンプトでPCの設定を確認しながら、その意味を教えてくれるという、今までありそうでなかった本だ。
この本で勉強することで、「基礎知識を学ぶ」から「基礎知識を使う」ことができるようになるはずだ。
ここからさらに詳細な学習をするには、
を読めばいいと思う。
ここまでで、初心者⇛中級者に進化できるはずなので、
その後はネットワークの基本に書かれている各分野ごとの専門書を読み進めていくのがいいはず。まだここまではやってないけど。
とりあえず、「ネットワークのきほん」まで読んでおけば、ネットワーク管理者以外のシステムエンジニアが、会社でネットワークの話をするときに
「何言ってんだかまるでワカンネ」
という状況は脱出できるはずである。ちなみに大きなSIerにはそういう人が半分くらいいるので、これで基礎を身に付けておけば、協力会社丸投げおっさんエンジニア以上にはなれるはず。決してそこを目指してはいけないけれど。
最後にまとめると、
「おうちで学べる ネットワークのきほん」
は、基礎知識としての点と点がつながってくる線のような本でした。
まさに「ネットワーク」の基本書であり、知識をつなぐ「ネットワーク」を作る本であるとも言えるでしょう。
##余談##
エディターにviviを使ってみた。
会社は秀丸が標準だけど、こっちもすごく使いやすいです。