突出した存在になるために、エンジニアが料理人から学んだこと
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4月7日の日経朝刊21面「ニューススクール」から
東京メトロ、白金高輪駅のそばにあるイタリア料理店「タランテッラ・ダ・ルイジ」のオーナーシェフ、寺床雄一さん(以下、引用部は敬称略)の話。
お店のURL(食べログ)→http://r.tabelog.com/tokyo/A1316/A131602/13122166/
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寺床は元々は食品商社の営業マンだった。料理に興味を持つようになり、イタリア料理店に転職。
20歳のときにイタリアに渡る。
老舗ピザ店のスタリタの味に感動し、親方に頼み続け弟子入りしたという。
途中何度も門前払いを食らったが、寺前はあきらめなかった。
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寺前さんの行動力
寺前さんの行動からは、常軌を逸した強い意志を感じる。
本場の味を届けられるオーナーになるために、本場のイタリアに学びにいった。
寺前さんの行動をエンジニアに例えるなら、
企業する技術を得るために、シリコンバレーに武者修行に行き、さらにラリーペイジやザッカーバーグに弟子入りを志願するようなものだ。
仕事をしていれば、周りに「すごい!」と思う人は一人や二人は必ず出てくる。
その人に直接会いに行って、さらに「弟子入りを志願」する、というのはとても勇気がいることだ。
寺前さんのこの行動力の源泉は「オーナーになる」という目的にあるのだろう。
では、僕は目的のために、勇気を持って手段を選択し、実行することができているのか?
寺前さんのように。
尊敬する人はいる。でも自分から声を出して、教えを乞うことはできているのか?
寺前さんのように。
自問せずにはいられない。
突出するために必要なことは、既に突出している人から学び取ることだ。
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弟子入り後は、寝る間も惜しんで職人技を身につけた。
モットーは「常に周囲の人よりも多く働くこと」
誰よりも早く職場に来て、誰よりも遅くまで居残る。そんな様子を見た親方は惜しげもなく秘伝を教えてくれたという。
多くの店で働くことを心がけた。
将来店を開くために、色々な店から技術を吸収したかったからだ。
ミシュランで三つ星を維持し続けているイタリア屈指の名店「ダル・ペスカトーレ」では料理長を任された。
店を開いて1年余。一時震災で途絶えた客足も回復し、今は予約でいっぱいだという。
「料理人としてのプライドを持って、地域に根付いた店を作っていきたい」
寺前は強い使命感を持ちながら、本場のイタリアンを地域に届けている。
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人より多く働き、多く吸収するということ
現場から得られる技術には、どんな座学もかなわない。経験こそが全てだ。
これは2年間エンジニアをやってきて実感したことだ。
突き抜けた存在になるために必要なのは、「誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで居残り、技術を学ぶ姿勢」
これはきっと、料理の世界でもエンジニアの世界でも変わらない。
寺前さんがすごいのは、一つの場所に安住せず、色々な店を渡り、その所々で技術を吸収し続けたことだ。
「オーナーになって本場の料理を届ける」ためには、多くの引き出しを持っていた方が良い。
ここから得られる教訓がある。
今いる場から学べることは一刻も早く吸収し、「もうこれ以上学ぶことはない」と思える次元まで成長すること。
その後は、出世のために楽な環境に身を置き続けるのではなく、次の場で新たな技術を吸収していくこと。
情熱プログラマーという本に以下の言葉がある。僕が好きな言葉だ。
「一番下手くそでいよう。一番下手くそになろうと努めたところで、本当にそうはならないものだ」
一番下手くそな状態から、一番うまくなるために、人より多く働く。
そして、一番うまくなったなら、その場所に安住せず、また一番下手くそな場所に身を移す。
その姿勢が、結局は自分を成長させ、やがて突出した存在に導いていくのだと思う。
寺前さんのように。